〚column〛ハダカデバネズミの長寿の秘訣?
ハダカデバネズミの長寿の秘訣?
ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は体長約8cmの東アフリカに生息するネズミの一種で、地下に作ったトンネル状の暗い巣穴で集団生活をします。寿命が約30年と実験用マウスの10倍以上も長生きであることと、がんにならないのが大きな特徴ということでゲノム塩基配列の解読と遺伝子発現解析が行われました。
予想された遺伝子は約2万2千種類とヒトやマウスなどと同程度でしたが、脊椎動物で保存されているいくつかの遺伝子にユニークなアミノ酸変異が見つかりました。これらの中には、がん関連遺伝子、体温を一定に保つ機能や視覚に関わる遺伝子などがあり、ハダカデバネズミのがん化耐性、体温調節能力や視覚の退化の遺伝的特性を将来的に説明できるかもしれません。
また、マウス、ラットやヒトで老化に伴って発現が変動する遺伝子の多くは、ハダカデバネズミで同様な発現パターンの変化は見られず、ハダカネズミ独自の長寿のメカニズムがあるかもしれません。
補足(2013年7月18日号のNature誌)
ハダカデバネズミでは細胞同士を結合するヒアルロン酸がマウスやヒトに比べて5倍も大きく、この高分子ヒアルロン酸が細胞の増殖をコントロールすることでがんになりにくくなっているのではないかとの報告がありました。
EB Kim et al.
Genome sequencing reveals insights into physiology and longevity of the naked mole rat.
Nature 479, 223–227 (10 November 2011)
DOI:10.1038/nature10533
X Tian et al.
High-molecular-mass hyaluronan mediates the cancer resistance of the naked mole rat.
Nature 499, 346–349 (18 July 2013)
DOI:10.1038/nature12234
情報元:公益財団法人かずさ DNA 研究所
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